『愛が揺れるお嬢さん妻』 かわいいひと
 まだまだ山波美羅とのお熱い付き合いが続く中、それでも時々思い出したように
娘や苺佳に『どこかへ行こうか』と誘うものの、『友達と約束があるから』とか
『実家へ行く用事があるから』とか、その都度理由をつけて断られるため
最近では休日に罪悪感を持つことなく美羅との逢瀬を楽しむ英介だった。



 美羅と会えない日はちょうど身体を休めるのに都合よく
家でまったりすることにしている。



 もはや妻や子から以前のように『パパ、パパ』と纏わりつかれたり、
妻からその週にあったできごとを聞かされることも、気が付けばなくなっており、
他に気を取られている英介だったが、あまりの家族の素気なさに最近ようやく
『どうした?』と気になるようになっていた。



 たまに『どこかへ行かないか?』と誘っても苺佳が行きたそうにしない。


 今は娘も妻も保育園でできた友達との交流に夢中のようで、
自分は以前ほどじゃないにしても恋人に溺れている状態なのである意味都合がいい。


 恋愛の賞味期限は3年と聞く。

 蜜月期が過ぎたなら、家庭にも今よりはずっと向き合えるようになるだろうし、
まだまだ俺たち夫婦のこの先は長いのだから、もう少し先で家族とは以前のように
仲良く密な関係に戻れるだろうと、そんな風に恋人美羅にのめり込むも、
少しも苺佳との離婚など考えたこともない英介だった。




 鯉のぼりをちらほらと目にするようになる端午の節句より少し前のこと。

 アレルギーが出て夜に咳込むので俺を起こしてしまうのが申し訳ないからと
苺佳が寝室で寝なくなった。


 あれから4か月ほど経つがそのままになっているものだから昨夜は深夜の帰宅
だったため、シャワーを浴びて寝室に直行して寝た。


だから苺佳のメモも読んでなかったのだ。



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