放課後はキミと。
恋はキミと。
次の日も、昨日と同じくらい、ううんもしかしたらそれ以上に囁かれていて。
居心地悪い感覚をもったまま、登校した。
靴箱を開けると、手紙が結構入っていた。
かわいらしい封筒から、紙だけ入れているものまで。
そこには、書きなぐったような字で「死ねブス」。
丁寧に封筒に入っているのだってきっと似たようなものなんだろうな。
ここまであからさまな嫌がらせも、なかなか受けたことないな。なんてもはや笑えてしまう。
そのまま、ゴミ箱に捨てた。
「俺はあんたの味方だから」
涼村くんのあの言葉が、胸のうちで鳴っている。
それが、あたしに力をくれる。
あたしは、なんにも悪いことしてない。
だから、落ち込む必要なんてなにもなくて。
胸をはって、いけばいいんだ。
でも。
やっぱり教室に入ったあの瞬間の。
ざわめきが一瞬消えてしまうあの瞬間だけは。
視線が自然と落ちてしまった。
席に着くと、紗世が駆け寄ってきてくれた。
「おはよ」
昨日のこともあったから照れくさかったけど、紗世はいつも通りだった。
「あ、おはよ」
「昨日、りんのせいでドラマ見逃したから、夜中に見てたら寝不足なんだけどー」
「え、それあたしのせい?」
「そうだよ。続き気になってたから夜中に見ちゃった」
居心地の悪い感覚は消えなかったけれど。
何も気にしてないように、会話を続けた。
この生活がいつまで続くのか。
涼村くんは付き合っとく設定にしとくといってたけど、どうやって噂を広めるんだろう。
その話は、全然していなかった。
紗世と話していると、にやにやこちらをみていた男子の集団から一人抜け出して、だれかが歩いてくる。
名前さえ覚えてないそのクラスメイトは。
昨日、やらしてくれっかなーなんて噂していたヤツだ。
嫌な、予感がした。
その男子は案の定、あたしと紗世の目の前で止まった。