辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました
 悲鳴をあげたリティは、ふたりの様子を見て笑っている友人を振り返った。

「ニナもエリーズも、笑っていないで助けて」

「無理だよ。相手はデルフィーヌなんだから。私たちまで一緒に怒られたくないもん。ね、エリーズ」

「ええ、そうですね。教育係としてデルフィーヌさんを選んだのはリティさんですし」

「それはそうなんだけど……」

 ニナは事件の後遺症もなく、以前にも増して元気になっていた。

 デルフィーヌには一般的な礼儀作法や教養を学び、ニナには薬草を主とした植物学を学んでいる。

 勉強を苦手とするエリーズだったが、彼女には意外な才能があった。

 それは、乗馬だった。

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