王子は私のモノなんです!
不要とされる事実を冷めた心で眺めていた。

それなのに。

“家の得にならないのなら、せいぜい私に尽くしなさい”
“貴方は私のモノですわ”

彼女は俺を手放さなかった。
彼女は俺を彼女のモノにしてくれるといった。

彼女だけが俺を求めてくれ、俺の世界に色をくれた。


無気力だった俺は人知れず勉強をした。
資質もあったのだろう。それに自分と周りを静観し続けた為か全体を見れる視野が育っていた事も味方し更に能力もつけていった。
しかしこの力を表には出さなかった。

殺されたくないからではない。
自分が“ハズレ”でなくては彼女のモノになれないからだ。

「動くなら、婚姻を結んだ後だな···」

彼女のモノになってから、彼女の望むものを全て手に入れようと決めて水面下で情報を集めた。

それは第一王子の弱みだったり、宰相の不正だったり。
そして全てをそのまま泳がせた。
泳がせる事で誰かが死んでも構わない、彼女が望まなければそのまま見逃す事だってしよう。

彼女が望んだ時に、必ず彼女のモノに出来るように。
その準備だけを進めていた。
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