恋を忘れたアラフォー令嬢~遅咲き画家とのひとときの恋
店の奥にある沢山の試し書きや、色合いを確認した形跡が残されたキャンバスは、それそのものが、一つの絵画のように見えた。
「私、絵は好きなんですが、上手く描けるか・・・」
「上手いより、どれだけ人の心を動かせるかじゃないでしょうか。絵画だけでなく、芸術も仕事も恋愛もそうだと、私は思いますよ」
今の私には、凄く心に響く言葉だった。
私は仕事や恋愛を、そんな風に考えた事も無かった。
「あの・・・失礼ですが・・・間違っていたらごめんなさい。あなた、南都さんのお嬢さんじゃない?」
「えっ」
私を南都の人間だと知っているのは、会社関係の人達しか知らないはず・・・
「あっ、ごめんなさいね。私、去年まで南都商事で働いてましてね。主人のこのお店を手伝う為に、辞めたんですけど・・・あなたの成人式のお写真を、1度裕司さんから自慢の妹だと見せていただいて、もしかしたらって・・・」
「そうでしたか。はい、私、南都弥栄子といいます」
「そう、弥栄子さん。何か縁を感じますね。あら、ごめんなさい。じゃあ、早速描いて見ますか?」
< 4 / 31 >

この作品をシェア

pagetop