ふしぎの国の悪役令嬢はざまぁされたって構わない!〜超塩対応だった婚約者が溺愛してくるなんて聞いていませんけど!〜
「もうっ!お二人ともいい加減にしてくださいませ」


一年に渡り、このやりとりを続けたが今でも信頼されていない。

(どれだけファビオラって我儘だったのよ……!いや、記憶によるとかなり我儘だったけれども)

ファビオラは一代で成り上がった新興貴族の令嬢だった。
父は贅沢三昧で潰れていった貴族達から土地やらを買い取り、飛ぶ鳥を落とす勢いで領地を拡大している。
一人娘であるファビオラは生まれた時から苦労を知らず、湯水のようにお金を使う少女だ。

記憶から見てわかる通り、相当な我儘っぷりである。
裕福なブラック家で欲しいものをなんでも手に入れてきたファビオラに怖いものなどない。
自分のものを奪われることが何より許せない。
もし奪おうとするのなら叩き潰すまで彼女は止まらない。
『わたくしのものを奪おうなんて身の程知らずね……死んで詫びなさい』
そんな決め台詞と共に人を殺していく、過激な悪役令嬢ファビオラ・ブラック。

悪役令嬢ファビオラが死ぬ以外の選択肢はないのか……そう考えた結果、ある答えに辿りつく。

(わたくしは早々にこの物語からフェードアウトして貴族の令嬢として慎ましく普通の人生を生きるのよ!)
< 3 / 81 >

この作品をシェア

pagetop