【書籍化】もふもふ聖獣と今度こそ幸せになりたいのに、私を殺した王太子が溺愛MAXで迫ってきます
フランチェスカを取り囲むようにして円ができていた。
恐怖から体が震えた。今までフランチェスカもシュネーも皆の病気や怪我を治すために、ずっと力を使っていた。
そんな心優しいシュネーが悪しき魔獣へ堕ちるわけがない。
フランチェスカはそう思っていた。

説明しようとしても「魔獣を殺せ」と、フランチェスカとシュネーを責め立てる声で溢れていた。
その表情はまるで穢らわしい者を見ているように嫌悪感が滲み出ている。

「違うのです……！これは黒い煙のせいでシュネーはこうなったと思うのです。だからこの黒い煙さえ取り払えればっ」

「嘘ばかりつくな！　黒い煙など、どこにもないぞ！」

「……え？」


しかしシュネーが牙を剥いて唸ると周囲からは悲鳴が上がった。部屋中が黒いモヤに覆われていく。
どうやらフランチェスカ以外は見えていないらしい。
けれどこれが原因だとフランチェスカにはハッキリと理解できるのだ。
周りにいた聖獣達は黒い煙に覆われるとバタバタと倒れていく。


「きゃああぁっ……！」

「誰か、俺の聖獣が！　助けてくれ……！」

「聖獣達が次々と倒れているぞっ」


悲鳴と共にシュネーとフランチェスカを責め立てる声が響いていた。
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