女嫌いの天才脳外科医が激愛に目覚めたら~17年脈ナシだったのに、容赦なく独占されてます~
「考えさせてくれ」と女の子の父親が俺に泣きながら答えて、黙って頷いた。
 病室に家族だけにして俺は医局に戻り、自席でカルテの処理。
 もう機械的に手を動かしていた。
 一時間くらいして、看護師が「玲人先生」と俺を呼びに来て、女の子の両親に「うちの子の臓器を提供します」と承諾の返事をもらった。
 辛い決断だったと思う。
 もう午後八時を過ぎていたが、臓器移植のコーディネーターや院内のスタッフと深夜まで連絡を取り合い、仕事を終えて医局に戻ったのは午前零時すぎ。
 俺のデスクの上には、優里が来たのかお弁当が置いてあった。
「そういえば夕飯食べてなかったっけ」
 椅子に座ってお弁当を開けると、オムライスが入っていた。
 ケチャップで【頑張って】と書いてある。
 それを見て涙が込み上げてきたけれど、グッと堪えた。
 ……頑張ってもどうにもならないことがある。
 情に流されるな。心を凍らせろ。
 食欲はなかったが、食べなければ身体が持たない。
 一口一口ゆっくり食べて完食すると、着替えて病院を後にする。
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