女嫌いの天才脳外科医が激愛に目覚めたら~17年脈ナシだったのに、容赦なく独占されてます~
 靴を履いて玄関を出ると、玄関のドアに手を触れ、礼を言う。
「今までありがとう」
 ここでの毎日はとても幸せだった。
 玲人くんとの思い出だっていっぱいある。
 彼に看病してもらったり、お粥作ってもらったり、一緒にベランダで花火見たり……。
 ここで過ごしたすべてが私にとって大切な宝物。
 また涙が込み上げてきて、上を向いて必死に堪えた。
 鍵を閉めて、エレベーターに乗ると、一階にいるコンシェルジュに鍵を預け、玲人くんに渡してくれるように頼んだ。
 マンションを出ると、なにも考えずに真っ直ぐ駅に向かって歩いた。
 マンションを振り返ることはしなかった。だって、振り返ってしまったら、泣き崩れてしまいそうだったから。
 駅までは徒歩で十五分。
 スーツケースを転がすと結構な距離だ。
 でも、早くマンションから離れないと……。
 こんなことになるなら、今朝もっと玲人くんの顔を見ておけばよかった。
 もう彼の顔も見れないなんて……。
 バチが当たったのかもしれない。
 
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