女嫌いの天才脳外科医が激愛に目覚めたら~17年脈ナシだったのに、容赦なく独占されてます~
 早く出て行ってもらいたくて坂井に用件を聞くと、彼女が俺に紙袋を差し出した。
「玲人先生、お昼作って来たんですけど、食べてくれませんか?」
「悪いけど、他人が作った物は食べられないんだ」
 紙袋を受け取らずに素っ気なく返したら、笠松がフォローする。
「そうそう。昔からこいつバレンタインのチョコとか全部断っててさあ。俺が代わりにもらってあげるよ」
 笠松が言ったことは本当。中学の林間学校でカレーを作ったのだが、女子が俺のカレーになにか薬を入れていたのを目撃して以来、人が作ったものは食べられなくなった。
 例外は優里や彼女の祖母が作る料理。
 それは昔からふたりが作る食事を食べて育ったからだろう。
「え? そうなんですか? 残念」
 ちょっと悲しそうな顔をされたが、気にしてはいられない。
「せっかくだから俺が食べてあげるよ」
 笠松が手を伸ばすと、坂井さんは紙袋を引っ込めた。
「それはいいです。自分で食べます。笠松先生は看護師からいっぱい差し入れもらってるでしょうし」
「話がそれだけなら出て行ってくれる……⁉」
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