復讐は蜜の味 ~悪女と言われた公爵令嬢が、幸せを掴むまで~
 ブッと吹き出して笑っていると、ふと抱き寄せれた。

(えっ?)

「――閣下?」

「ルル、俺はどうしたらいい?」

 抱きしめてられているので、大丈夫の顔が見れない。

「どうしたんですか?」

 いつだって落ちている彼がこんなに取り乱すなんて。ピエールの報告に、彼を惑わすよからぬ事件でもあったのだろうか。

 今朝、ピエールは寝ぼけ眼で使用人の朝食に顔を出した。

『帝都は地獄、ここは天国』とふざけた調子で言っていたが、多分大きな問題を抱えているのねと思った。

 いくら広い肩でも、何万、何千という人々の期待を背負うのはつらいはず。

「大丈夫ですよ、閣下」

 思わず口をついてでた。

 無責任とは思うが、彼ならばきっと大丈夫だから。

「俺がしようとしていることは、人として、間違っていてもか?」

 体を離した大公は、ルルの頬を掴みジッと見つめる。

「それでもいいと思うのか?」

 ルルは精一杯の笑みを浮かべて頷いた。

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