誰にも言えない秘密の恋をしました       (この唄を君に捧ぐ)
(心菜side)

その頃、
心菜はやっと目が覚めて、辺りを見渡すが蓮がいない。
昨夜、泣いてしまった私を慰めて抱きしめて歌まで歌ってくれた。

こんなに近くで彼の歌を聴いたのは私が初めてじゃないかな?そうだといいな。そう思いながらすんなり眠りに着いた。


昨日の午前中、首都高速で大きな事故があり、救急は一気に修羅場と化した。

運ばれて来た時にはどうしようもなく手の施しようがない人、重傷者、軽傷者、様々な怪我人に溢れ返りトリアージして行く。

医者も看護師も必死になって助け出せる命を助けた。
心菜も必死だった。出来る事は率先してなんでもやった。制服に飛び散る血だって気にしてなんていられないほど、我を忘れてひたすら働いた。

全ての処置が終わり気がついた時は定時を2時間を過ぎだ20時だった。

みんな疲労困ぱいの中、廊下から聞こえてくるのは亡くなった人々の遺族の泣き声。

助け出せなかった人の中には高校生や幼児もいた。

心菜はふと、我に返って手が震えてきた。

自分の両親との別れがフラッシュバッグのように思い出された。

師長から上がりだからと促されて仕事着を脱いだ。

血だらけの服を見て、また手が震えた。

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