誰にも言えない秘密の恋をしました (君にこの唄を捧ぐ)
冷蔵庫から食材を出していると、半裸の蓮さんが現れて、えっ⁉︎と思っていると抱き上げられて、元居たベッドに舞い戻る。
「れ、蓮さん、朝ご飯作らないと…、午後イチでお迎えが来るんですよね?」
「ああ、大丈夫。さっき食事はお願いした。
心菜が気に入ってたパンケーキかフレンチトースト作ってくれるから、ちょっと待ってろ。」
「本当ですか?嬉しい。」
まさか今日食べられるなんて思って無かったから、一気にテンションが上がる。
「なんか…ここ1番の笑顔なんだが…ちょっと嫉妬するな。」
蓮さんが急に拗ねたように言う。
「お腹空いてるから…つい、喜んでしまいました。」
そんな風に言われると、たかがパンケーキで喜んでしまう自分が、子供っぽくってちょっと恥ずかしくなる。
「今日は気が済むまでゴロゴロ過ごしてくれたらいい。なんなら、ずっといてくれても良いから。」
それは…一緒に住もうって、この前の続きなのだろうか?
何気に…この前から電話だったり、メールだったり、一緒に住みたいアピールをされる。
蓮さんにとっては同棲って…当たり前な流れなのかな?
ハードルが高いと思ってしまうのは…恋愛慣れしてない私だけなのかもしれない。
誰かに…相談したいな。と、思ってしまう。
「蓮さん、そんなに一緒に住みたいですか?」
つい本人に聞いてしまう。
「朝起きた時、寝る時、心菜がいたら最高だろ?それだけで安眠出来るし、ホッとする。」
そんなにも心配されてるのだろうか?
「でも…毎日一緒にいたら、私の駄目なとことか嫌なとことか、いっぱい見えて来るかもしれないですよ?」
蓮さんは半裸のまま、ベッドに横になって言う。
「そんな心菜も見てみたいとは思う。要はもっと心菜に近付きたいんだ。」
肘をついてこっちを見て来る。
「私…恋愛したのが初めてで…未だに会うだけでドキドキしちゃうし…一緒に住むとか…初心者には、ハードルが高すぎるんです。」
素直な気持ちを伝える。
蓮さんは私の手を取り、優しく自分の指に絡めながら思案しているようだ。
「俺もずっと一緒にいたいと思ったのは心菜が初めてだ。今までそう言う深い付き合いはして来なかった。
ここまで執着するのは心菜だけだ。
だから、あんまり深く考えず、思ったまま言葉にしてたが…。
いっその事、籍入れるか?」
へっ!?
私は、瞬きを繰り返す。
籍入れる…?結婚するって事⁉︎
付き合ってまだ1ヶ月ちょっと…一緒にいた時間だって、数えるくらいなのに…?
私の反応を見て蓮さんがハハッと笑う。
「さすがにまだ早いか。
ただ、そのくらいの気持ちで俺は話している。なんなら心菜の家族に挨拶に行こうか?」
面白そうにそうに言って来るから戸惑ってしまう。
「へっ⁉︎
そんな事したら、お兄ちゃんもおじいちゃんもびっくりしちゃいます。」
ただ、揶揄ってるだけだろうか⁉︎
「笑ったのは心菜の反応が面白かっただけで、至って本気だからな。」
そう言って今度は真顔で見つめられる。
「私…お風呂行って来ます…。」
その場にいるのが凄く恥ずかしくなって、
逃げるようにベッドを出て、いそいそとお風呂場に向かう。