誰にも言えない秘密の恋をしました       (君にこの唄を捧ぐ)

蓮と心菜の休日

心菜の兄、一心を送って駅から家路に帰る。

さすが心菜の兄だけあって反対される事も無く、逆に励まされてしまった。

心菜がこんなにも素直で真っ直ぐに育ったのは、あの兄のお陰に違いない。
蓮は敬意すら覚える。

今夜は大人しく家に送るつもりだったが、既に心菜は後部座席で熟睡中だ。

これは連れ帰るしか手はないだろう。

本当に疲れると、電池が切れたように寝てしまうから、俺がいないところでもしも、眠ってしまう事があったらと思うと背筋がゾッとする。

今までよくこんなで何ともなかったよな。

それも一心のお陰なのかも知れない。出来るだけの敬意を示さなくてはと思う。

赤信号で、バックミラー越しに心菜を眺める。
寒くないだろうか?
もちろん暖房は付けているが足元が膝丈のスカートだ。

今夜は、蓮が買った服の中から一推しだったワンピースを着てきてくれたから、ステージ上からでもすぐに分った。

オフホワイトのコートもよく似合っていた。

車を路肩に止めて、後部座席の心菜の膝元に自分のコートを掛ける。
ついでに額にキスをして運転席に戻る。

明日から3日間、久しぶりに連休がある。

心菜も明日は休みだと言っていたから2人でのんびりしよう。と、蓮は微笑み家路を急ぐ。
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