誰にも言えない秘密の恋をしました       (君にこの唄を捧ぐ)
心菜はキッシュを完食して、ホットココアを飲んでいる。
残りは紙袋に入れ持って帰るようだ。

「ライアン先生、今日は当直だったんでしょ?早く帰って休んだ方が良いですよ。」
日本語で心菜が言ってくるから、

「そうだね。すこし眠くなってきた。
ココを見てると、いやされるから眠くなっちゃうよ。」
ライアンもこの上のアパートメントで暮らしている。

残りのコーヒーを飲み、ライアンは重たい腰を上げ立ち上がる。

『じゃあ、また明日ね。ココ良い日を。』

ライアンはハグをしたいと思うけど、日本人のシャイなところに遠慮して、握手だけを求めるに止める。

『はい。また明日。』
心菜は遠慮気味にそっと握手をしてサッと手を離し、手を振る。

ライアンと別れて心菜はまた、仕事に入る。

『ココ、悪いけど近くのオフィスまでコーヒーを配達してくれる?』
ハンナからの依頼に、

『はい。』
と、元気に返事をして心菜は紙袋を持って店を出る。
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