誰にも言えない秘密の恋をしました       (君にこの唄を捧ぐ)

再会…そして

流暢な英語を喋るこのアジア系イケメンは誰だろう?とハンナは思う。

『実は人を探しています。渡瀬心菜と言う子を知りませんか?』

蓮は単刀直入に聞く。

「Oh,my God!」
ハンナはいろいろな事を瞬時に察知して驚く。そして心菜の事を教えて良いのかと迷う。

だけど、きっと遥々日本から来たのではないか?そう思うと、無碍にも出来ず気を取り直す。

『あなた、もしかしてココのフィアンセ!?
彼女を探してここまで来たの?』

蓮は店員が心菜を知っているようなので、ひとまず安心する。
しかし…心菜がいない?

『心菜が俺の事をフィアンセと?』
何から話すべきか、蓮は頭をフル回転させながら思いを巡らす。

『いいえ、ココは自分の事は全然話さないわ。でも、何となくね。女の感よ。』
ハンナはフフッと笑いながら、いつもの明るさを取り戻す。

『心菜は今、どこに?』

『ココには今、お使いを頼んでるの。
近くのオフィスまでコーヒーを届けに行っているわ。多分そろそろ戻って来ると思うけど。』

『そうですか。待たせてもらっても良いですか?』

無論ダメだと言われても、食い下がる気は無いがと蓮は思う。

『もちろんよ。何か食べる?』

蓮はやっとそこで、朝からまだ何も食べていない事に気付いた。

『コーヒーと軽食を、何かお勧めを下さい。』
流暢な英語でそうオーダーし、ハンナは特製キッシュを勧める。

蓮はレジの見える窓際の席に座り、窓から外を見て心菜を探す。

ハンナはその男の絵になる姿を見つめながら、さっきココが座っていた席の向かい側だと気付き、人知れず微笑む。

このキッシュもさっき同じ物を食べていたし、それだけで何だかお似合いの2人だわ。と思う。

『この時間は客もまばらだから、好きなだけ待っていてくれたら良いわ。』

温めたキッシュとコーヒーを席に運びながら、ハンナは彼を観察する。

流暢な英語は何となく品がある。
着ているもの、身に付けているものもサラッとブランドものだったりする。

お医者様?…と言うより、モデルみたいな佇まいね。
ハンナは推理を働かせながら、男の職業を考え1人楽しむ事にする。

甥っ子には申し訳ないけど、これは勝ち目は無いわね。と、密かにライアンを同情する。
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