ファーレンハイト/Fahrenheit
#05 ハイヒールとライフル銃
一月十七日 午前一時二十六分
人通りの少ない路地裏で、長身の二人の男が寒そうにしている。
一人はスーツにスタンドカラーのコートを着た葉梨将由、もう一人はデニムにパーカーを着てフードを被っている松永敬志だ。二人は肩を寄せ合い、まるで仲の良い兄弟のように歩いていく。
「ポンコツ野川の頭のリボンってさ、見失った時に良い目印になるよね」
「んふっ……そうですね、分かりやすかったです」
街路樹のイルミネーションは既に消え、等間隔で歩道を照らすだけの暗い歩道を、二人は歩いている。
「葉梨もポンコツ野川みたいな清楚系の小柄な女が好きなんだろ? 山野だって小柄だし」
「ああ……前の彼女がそうだっただけで、そんなにこだわりはないですよ」
「ふふっ……『前の彼女』か、いいねえ、ふふっ」
二人は歩きながら横目でお互いの目を見て、頬を緩ませた。
「聞かせてよ、生々しい話」
「まだ何もしてませんよ」
「あれ? この前会ったんじゃないの?」
「……あの日、合コンでした」
「おっと……」
松永敬志が立ち止まり、お腹を手のひらで押さえて目を伏せた。それを葉梨将由が見て、「どうしました?」と問うと、「胃が痛い」と言った。
「大丈夫です、加藤さんは許してくれましたから」
「えー、ほんとにー?」
「本当です」
人通りの少ない路地裏で、長身の二人の男が寒そうにしている。
一人はスーツにスタンドカラーのコートを着た葉梨将由、もう一人はデニムにパーカーを着てフードを被っている松永敬志だ。二人は肩を寄せ合い、まるで仲の良い兄弟のように歩いていく。
「ポンコツ野川の頭のリボンってさ、見失った時に良い目印になるよね」
「んふっ……そうですね、分かりやすかったです」
街路樹のイルミネーションは既に消え、等間隔で歩道を照らすだけの暗い歩道を、二人は歩いている。
「葉梨もポンコツ野川みたいな清楚系の小柄な女が好きなんだろ? 山野だって小柄だし」
「ああ……前の彼女がそうだっただけで、そんなにこだわりはないですよ」
「ふふっ……『前の彼女』か、いいねえ、ふふっ」
二人は歩きながら横目でお互いの目を見て、頬を緩ませた。
「聞かせてよ、生々しい話」
「まだ何もしてませんよ」
「あれ? この前会ったんじゃないの?」
「……あの日、合コンでした」
「おっと……」
松永敬志が立ち止まり、お腹を手のひらで押さえて目を伏せた。それを葉梨将由が見て、「どうしました?」と問うと、「胃が痛い」と言った。
「大丈夫です、加藤さんは許してくれましたから」
「えー、ほんとにー?」
「本当です」