仮面夫婦を望んだ冷徹な若社長は妻にだけ惚けるような愛を注ぐ。【逃亡不可避な溺愛シリーズ1】
「朝食は、どうしますか?」

 一応そう問いかけてみる。冷蔵庫の横にある箱の中にある、大量の栄養補助食品は見ないふりをした。

「朝食は、適当にゼリーでも飲みます」

 彼はさも当然のようにそう言ってくる。……うん、この態度からしてそれが日常なのだろう。

 ……芽惟からすればあり得ない生活だ。

「……朝食くらい、しっかりと摂ってください」

 自然とむすっとしてそう声を上げてしまう。敦也が、驚いたように芽惟のほうを見たのがわかった。

「手間になる」
「一人分も二人分も大して変わりませんので」

 それは、芽惟の本音だ。

 一人分を作ろうが、二人分を作ろうが。同時進行ですれば大した負担にはならない。

 むしろ、彼の食生活のほうが心配になってしまう。

(栄養はゼリーとか、補助食品とかでも取れるけど……)

 かといって、そういうもので朝食を済ませるのはちょっといただけない。

 その一心で、芽惟は冷蔵庫を開ける。昨日ちょっとだけ買っておいた食材を手に取っていく。

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