淡い秘め事

いつも家に帰ってくるのは、真夜中になる。
家に着くと、真っ先に結愛の顔を見に行く。

寝ているフリをしているみたいだけどバレバレだ。
でも、あえて起こさず結愛の頭を撫でて、それからシャワーを浴びに浴室に向かう。
シャワーから帰ってくると結愛は、ぐっすりと眠っている。
結愛の寝顔を見ていると、たまらずキスしたくなる。
この感情をなんとか抑えて、結愛の隣で眠る。
こんなことを何回繰り返したんだろう。













仕事から帰ってくると、久しぶりに結愛が泣いていた。
昔は夜、仕事から帰ると毎日のように泣いていたっけ。

「よしよし」と撫でると、結愛は「泣いてない!」と強がった。
そんなに目を腫らしておいて、泣いてないわけあるかよ、と思うけど、そんなところもかわいい。
強がる結愛を無理やり抱き寄せて、背中をさすると結愛の呼吸は落ち着いてくる。
結愛からは、女の子特有の甘い匂いがした。

いつの間に俺と違うシャンプーを使うようになったんだろう。
結愛は、日に日に俺から離れて大人になってしまう。











久しぶりの休日だった。
一般的には平日だから結愛は学校だ。
夜ご飯は一緒に食べる約束をして、結愛は家を出る。




ベットに一人でいても、いつも結愛が寝ていた場所からは、甘い残り香がする。
抑えきれない感情と、結愛を大切にしたい感情が入り混じって、よくないことをしている気分になった。



この気持ちは隠さなくちゃいけない。
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