アラフィフママを溺愛するのは植物男子でした
「冗談だよ。航さんでいい」
「わかりました」

 並んで座って、しばらく黙っていたら、ポツポツと雨が降ってきた。

 先輩が家に誘ってくれた時は、舞い上がるほど嬉しかった。
 でも、期待は思っていたのと違った。
 僕はこの共同プロジェクトを、先輩との子育てのように思っていた。
 しかし、生まれてきたのは子どもどころか、いい歳した……50代のおっさんだった。
 よりにもよって、先輩の亡くなった旦那さんに似ているとは。
 きっと先輩は、ミノに惹かれているに違いない。植物の証である足元は見せてもらったが、それ以外は見た目人間なのだ。それに、男の僕が見てもミノの見目はいい方だった。
 加えて性格も良く従順だなんて、惹かれない方がおかしいくらいだ。

「……ミノはさ。先輩のこと、どう思っているんだ?」
「先輩? 結衣子さんのことですか?」
「そうだよっ」

 こいつ……。僕でさえ名前呼びなんてしたことないのに。

「主人として敬愛しています。もちろん航さん、あなたのこともです」
「えっ……?」
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