アラフィフママを溺愛するのは植物男子でした
「先輩」

 郡山くんは、テーブルに置いていた私の手の上に、自分の手を重ねてきた。

「結婚しましょう」
「え…………?」

 唐突な申し出に、私は目を丸くした。

「えええええええええっ!?」

 私とミノは、同時に叫んだ。
 告白すっ飛ばしてプロポーズ!?
 待って待って待って、ちょっと待ってー!
 結婚!? 私と郡山くんが!?

「別に結婚までする必要はないんじゃない? 同棲とか、いろいろ方法は……」
「でも僕は、先輩が好きです」

 くあああぁぁっ!
 そんな、子犬のような目で見つめないでー!

「そうだ、ミノは? ミノの意見を聞きたいわ」
「俺の主人はお二人なので……。お二人の意思に従いますが……」

 ミノが少し言い淀んだ。

「ん? いいのよ、ミノの率直な意見を聞かせて」
「できれば、お二人のそばにいたいです」

 くうううぅぅっ!
 まさか50代のオジサンをかわいいと思ってしまうとは!
 これには郡山くんも心を撃ち抜かれたようだ。

「でも俺は、やっぱりお二人の意思に従うしかないので……」
「そんなこと言って。先輩、聞いてくださいよ。こいつ、毎日ずーーっと“結衣子さん結衣子さん”って言ってたんですよ?」
「航さん! それは言わない約束でしょう?」

 ミノは顔を真っ赤にして怒っている。
 この数日で、二人はすっかり打ち解けあったみたいだ。
 しかし、結婚するか否か、結局は私の返事にかかっているようだ。
< 44 / 54 >

この作品をシェア

pagetop