喫茶店の悪魔

「ただいまー!澪!聞いてよ!」

「おかえりなさい、です。私も天さんに聞いてほしいことがあるんですけど」


玄関で、おかえりとお出迎えすることも出来ないくらい、勢いよく部屋に入ってきた。

リュックを床に放り投げた天さんのために、拾ってしっかりと決めた場所に片付ける。

走ってきたのか、髪が乱れている。


「じゃー澪から。聞いてほしいことってなに」

「喫茶店のバイトの先輩が、ここの3階に住んでいたんです。それで、私と天さんの関係をいとこ同士と言っておきました。」


天さんは真剣な表情で1度下を向き、理解したように顔を上げた。


「なるほど。んなら、俺らはいとこ同士ってことにしなきゃなんだ」

「そういうことです。すみません、咄嗟に」

「大丈夫了解。んじゃー次俺の番」


急に目をキラキラと輝かせて私を見る。眩しすぎて直視できない。

ポケットから2枚の紙切れを取り出した。

…ん?どゆこと?


「なんですか?」

「澪。一緒に、行ってくれる?」

「なにをですか?」


なんだ、ろう。なんか、怖い。


「遊園地」

「……はぁ?」



< 185 / 204 >

この作品をシェア

pagetop