喫茶店の悪魔
神様なんていないから
「んっ………」
瞼をゆっくりと開ける。まだ頭がズキズキと痛い。
寝ておこうかと一瞬目を瞑るが、一旦何時か確認しないと。目を再度開いて、重い上半身を起き上がらせて自分のスマホを探す。
ベッドの端にぽつんと置かれてあった。というより、落ちている。
久しぶりに電源をいれる。もう昼の12時半。
静かだなと思ったら金髪さんはいない。そうか、仕事に行くって言ってたな。
食欲はないけれど、お昼だし時間的にお昼ごはんを食べたくなる。
そういえば、昨日の夜も何も食べてない。
買いにいこうか。でも体のことを考えたら、行かないほうが絶対にいいだろう。
ああ…プリン1つでもいいからほしい…
「っあ」
紙などが散乱している僅かに見える茶色いテーブルの上に、ブドウ味のゼリーやペットボトルの飲み物が置かれていた。
えっ…こんなの…だめなのに…
でも、金髪さんはほんとに優しい。
昨日は私を助けてくれて。
きっと、あの雨の中倒れていたら死んでいただろう。金髪さんは命の恩人…か。
やっぱり、食べたい。
汁が溢れ出ないようゼリーのフタを丁寧に取って、スプーンですくい口に運ぶ。
金髪さんの優しさに甘えてしまおう。本当に本当に、申し訳ないけど。
なんの仕事をしているのだろう。
夕方の4時くらいにいつも喫茶店に来るということは、…ん、どういうことだ?
部屋を見渡すと、ベッドの真下に何枚もの紙が落ちている。1つ拾って見る。