喫茶店の悪魔

神様なんていないから


「んっ………」


瞼をゆっくりと開ける。まだ頭がズキズキと痛い。

寝ておこうかと一瞬目を瞑るが、一旦何時か確認しないと。目を再度開いて、重い上半身を起き上がらせて自分のスマホを探す。

ベッドの端にぽつんと置かれてあった。というより、落ちている。


久しぶりに電源をいれる。もう昼の12時半。


静かだなと思ったら金髪さんはいない。そうか、仕事に行くって言ってたな。


食欲はないけれど、お昼だし時間的にお昼ごはんを食べたくなる。

そういえば、昨日の夜も何も食べてない。

買いにいこうか。でも体のことを考えたら、行かないほうが絶対にいいだろう。

ああ…プリン1つでもいいからほしい…


「っあ」


紙などが散乱している僅かに見える茶色いテーブルの上に、ブドウ味のゼリーやペットボトルの飲み物が置かれていた。


えっ…こんなの…だめなのに…


でも、金髪さんはほんとに優しい。

昨日は私を助けてくれて。

きっと、あの雨の中倒れていたら死んでいただろう。金髪さんは命の恩人…か。


やっぱり、食べたい。


汁が溢れ出ないようゼリーのフタを丁寧に取って、スプーンですくい口に運ぶ。

金髪さんの優しさに甘えてしまおう。本当に本当に、申し訳ないけど。


なんの仕事をしているのだろう。

夕方の4時くらいにいつも喫茶店に来るということは、…ん、どういうことだ?

部屋を見渡すと、ベッドの真下に何枚もの紙が落ちている。1つ拾って見る。


< 38 / 204 >

この作品をシェア

pagetop