喫茶店の悪魔

逃げるように1階の自分の部屋に入る。


―蒼と蓮たちの成長見れるよ。

―澪ちゃんはほんとに大人っぽいなぁ。

―ほんと、何のためにバイトなんてやってるのよもうー。


少しの言動も、私にとっては大きなナイフ。痛い。痛くてたまらない。傷つけられてもないのに、心が痛くてたまらない。

孤独でいい。こんな思いをするくらいなら。誰にも頼らずずっと一生、1人で生きてきたい。

私が、バイトなんてやってお金を貯めているのは、この家から出ていくためだ。

そんなことは思いも考えもせず笑って言った、お母さんにそのことを打ち明けたら、どんな反応が待っているんだろう。


お父さんに、会いたい。

死んじゃったお父さんに会いたい。


それは今まで何度も何度も思ったことだ。


何も触れられない。唯一見れるのは、紙切れの写真だけ。


なんであのお父さんと今のお母さんと、私の3人じゃ駄目だったの?

神様、何か駄目だったのですか?こんなにも私は今孤独なんだよ?わかんないの?

なんで、私だけこんなに不幸者なの……、


まあ神様なんて、いないから。

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