喫茶店の悪魔

同居



夜空の下、先程の公園への道のりを、ゆっくりとした足取りで歩く。


溜め込んでいた言いたいこと、ちゃんと口に出してお母さんに言うことができた。

それは、きっとお母さんも同じだろう。それならよかったのだ、これがよかったのだ。

お母さんや今のお父さんから、誰からも愛されてないって思ってしまって辛かった。

弟たちを見るたびに、何かをお母さんとお父さんが何かを言うたびに、心が包丁で刺されたかのように痛くて仕方がなかった。

部外者な日々が、終わるとしたら、私の未来は変わっただろうか。


―また戻るとは言ったけど、いるかな。


「れいー!!」

「あっ……」


すると静かな夜の中、金髪さんの声が近づいてくる。

頭をもう下げちゃだめって約束をしたのに、頭は上がってくれない……


「バカ!夜に1人とか危ない。」


近くに声がして、下を向いた顔を上げる。

金髪さんが、焦りの表情でこちらを心配そうに覗いていた。あのお母さんのヒステリックな怒りの表情じゃない。


「えっ!?」


そのまま勢いよく、抱きついてしまった。


「えちょっ、え?待って状況が」

「すみませんっ…なんか見たら安心してしまって……」


声が耳の側にあって、恥ずかしく感じる。男性とこんなにも近くに近づいたのは初めてかもしれない。
< 81 / 204 >

この作品をシェア

pagetop