Fortunate Link―ツキの守り手―



「うわっ…」

突っ込んでくるアカツキを目にし、思わず声を漏らす。

どうやらハンドボールのジャンピングシュートの要領でボールを投げつけてくるつもりらしい。


目を見るとマジだ。
やばい。
超ウルトラ度級の本気なのが来る。

全身を使って投げ込んでくるつもりだ。


その攻撃だけは何としても回避せねば…と身構える。
下手すれば魂ごとぶっ飛ばされてしまう。


――と、そこへ、

「シュン、後ろっっ!!」

切羽詰った白石さんの言葉が響いた。


「…えっ?」

一応背後にも気を配っているつもりだが、異変は何も感じていない。

しかしあまりの差し迫ったその声に、体がとっさに彼女の警告に従った。

何事か?と確かめるべく後ろを振り返る。

しかし。


 ・・・・・


振り返った先には誰も居ないし、何も無かった。


「んなっ」

己の迂闊さに気づいたが一瞬。

斜め後ろから空気を切り裂く音とともに、


――ドガッッッッッッ

弾丸シュートが後頭部に突き刺さった。



声も出ない。

体ごと吹っ飛ばされる。

衝撃で視界が何重にもブレる。

平衡感覚が麻痺していく。

現実が一気に遠のく。


遠くで湧き上がる歓声を聞いた気がした。

が、そんなのはもうどうだっていい。



嗚呼…。

空が見える。

地面が見える。


そして――…

母なる大地と熱い抱擁。


…そうか、なるほど。

万物とは皆こうやって地へと還っていくのか。


――さよなら。俗世よ。


肌がグランドの土の感触を捉えたとともに、
俺の意識は完全にブラックアウトした。




☆::::第6話へ続く:::::☆

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