Fortunate Link―ツキの守り手―


そこでやっと、星羅は口を開いた。


「そうよ。
私達は一族の待望の双子――の筈だった。

けれど生まれてすぐに、私の方は月読みの能力を持たないただの子供だということが分かった。
だから見切りを付けられた私は、まだ幼いうちに一族から捨てられたのよ」


「でもそれは嘘なんやろ?」


蓮はすかさず口を挟んだ。


「嘘なんて言ってないわ」


「いや。一点において嘘や。
能力がなかったんはセイラちゃんじゃない。お姉さんのほうや」

蓮は笑う。

「福宿しの巫女と月読みの巫女は二人で一対や。
福宿しの中に流れる運気の流れを月読みが読む。
政府が国運を左右する選択に迫られた時、メガバンクが市場拡大への重大な取引を控えている時、それらの行く末を占ってきたんが水波家の双子の巫女や。

ところがセイラちゃんのお姉さんのもつ運気の流れはそれらを占えるほどの量ではなかった。
月読みの能力が備わっていたセイラちゃんには”それ”が視えてしまった。
だから一族にそれが露見してしまう前に、セイラちゃんの方が自分には能力がないと申し出たんや」

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