Fortunate Link―ツキの守り手―


「……ばかばかしい…」

星羅は鼻で笑った。

「私が自分を犠牲にしてまで姉を救おうとした立派な妹だと言いたいの?」

「……まぁそれは俺の推測にしか過ぎんけど。
でもセイラちゃんの姉さんに福宿しの能力が無いのは確かや。

だからあんたは月村明月のもつ強運に興味をもったんやろ?
なんで姉さんが持ち得なかったものを月村明月が持っているのかと」

「………」

星羅は蓮を睨みつけた。

「……あなたはその理由を知っていると言うのかしら?」

「……さぁ?」

「――お兄ちゃーん」

露店の前に小学生らしき少年が立っていて、蓮の方を見て呼んでいる。

「チョコバナナ一つ欲しいんだけど」

「あいよ」

蓮は返事をし、ベンチから立ち上がる。

と、店へ戻る前に一度だけ星羅の方を振り返り、

「…あんたの求める答えは、全部、彼の中にあるで」

「……彼って?」

星羅は未だ、蓮を睨んだまま問い返す。

「いつも月村明月の傍に居る守り手や」

蓮はニッと笑って答え、店の中へ入っていった。


星羅はしばし何かを考えるようにそちらをじっと見ていた。

「………」

やがて、何か思ったのか、おもむろに制服のポケットに手を入れた。
ポケットから出した手を開くと、きらりと透明な光を放つ赤いサイコロがその上に乗っていた。


「……答えはシュンの中に…」

呟く彼女の手の平の上で、サイコロが小さくころりと転がった。



☆::::第7話へ続く:::::☆

< 153 / 573 >

この作品をシェア

pagetop