Fortunate Link―ツキの守り手―
アカツキの肩を撫でた。
次の瞬間――、
「優しくするなっ!」
脇腹の打撲の上に直にボディブロー。
体をくの字に折って呻く。言葉にならない痛みに悶絶。
「…い、いきなり、何すん…」
涙目になって、切れ切れに言う。
衝動的だったとはいえ、自分の取った行動を心から後悔した。
くそぅと思いつつ、恨めしげにアカツキを見上げる。
だが、見上げた先に居たアカツキは……、
「……私に優しくなんかするな」
苦々しげに歪めた表情で俺を見ていた。
「優しくなんてしなくていい――」
突っぱねるように言う。
”拒絶”じゃなく”拒否”。
でもそっちの方が胸が痛い。
「正直、『守る』って言ってくれたお前の言葉に今まで甘えてたんだ。心のどこかで。
だけどこれからはそうもいかない。お前は私のせいで危険な目に遭うんだから」
「……そんな事無いって」
そんな事言わないで欲しい。
「そんな事あるっ」
アカツキはギッと睨んできた。
「馬鹿な事を言ってると思ってんだろ」
「違うって」
違うって心から言える。
なぜかその支離滅裂なアカツキの言葉をすんなり受け入れられた。
言葉の意味云々より、その必死さが痛いほどに伝わったから。
「そうだよな。私自身だってよく分かってない…。分からなくって当たり前だ。ただそう”感じる”だけなんだから」
自嘲っぽい笑みを浮かべるアカツキ。
そうじゃない。そうじゃないんだ。
「違うっ」
アカツキの肩を掴み、揺さぶった。
アカツキはそれを振り解こうとした。
でもそうはさせなかった。
「聞けっ!アカツキ!」
強く言い聞かすように言った。