Fortunate Link―ツキの守り手―
そこは煌びやかな世界だった。
アーケードを思わせる高い透明の天井から光が降り注ぎ、両脇には様々なお店がずらりと立ち並ぶ。
「本当にここは船の中か?」
「そうよ。
あっちには映画館や劇場もあるしね。」
カラフルな照明が彩る場所を指差し、白石さんが説明してくれる。
「向こうには客室やレストランがあるよ」
船内を歩いているだけでめくるめくように景色が変わっていく。
4層の吹き抜けの場所へと出ると、透明なカプセル、もといエレベーターが上下に動いている。
「あっ、シュンにも部屋を用意させておくから好きな時に休んでね」
「っておい、もしかして何泊かするのか?」
「ううん。
湾の外までちょっと出て、それから湾内をグルッと廻って来るだけだから、夜にはここに戻ってくるわ」
たったそれだけの行程で、こんなどでかい船を動かすとは――。
やはり金持ちの考えることは分からない。
「ねぇ。
それより、外に出ようよ」
白石さんが俺の腕を掴んでくる。
「お、おい。
ちょ、ちょっと…」
彼女に強引に引っ張られるまま、船のデッキへと出た。