Fortunate Link―ツキの守り手―


「はぁ。
きっもちいいー!!」


外の風を浴び、白石さんは気持ちよさそうにくるりと廻る。

まぶしい太陽の光が彼女の白い肌を一層際立たせていた。


「あっ」


白の麦わら帽子を手で押さえながら、俺の方を見る。


「今、私に見惚れてたでしょー」


「…な。んなわけないだろ…!」


その時、周囲で音楽が鳴り響き始めた。


「ん?なんだ?」


「出港セレモニーね」


ターミナルの方を見ると、赤の衣装に身を包んだ鼓笛隊らしき人達がこちらを向いて演奏していた。


「…すぐにまた戻って来るってのに…」


「イベントがあるこその船旅よ。
だからその都度、今を楽しめばいいの」


演奏が止んで、歓声が上がる。

見ると、船から岸に向かって色とりどりの紙テープが放たれ、風にひらひら吹かれていた。


船は汽笛を鳴らし、離岸していく。

タグボートに押されながら、船はゆっくりと海へと動き出した。


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