Fortunate Link―ツキの守り手―
*
「さぁーて、船も動き出したことだし」
白石さんは俺の方を振り返り、
「思いっきり船旅を楽しもう」
手を差し出してくる。
「……えっ?」
「ほら。ぼーっとしてないで」
手を掴まれ、引いていかれる。
「映画見る?ショッピングする?」
「いや、あの…」
「あっ、スポーツジムやフィットネスセンターもあるよ」
「海の上でわざわざ体を鍛えたい気持ちが分からんわ」
「ロッククライミングもあるよ」
見るとデッキ後方に壁がそそり立っている。
「それこそ山でやれ」
やはりセレブリティの考えることは分からん。
「あっ、温泉もあるんだよ。
私が乗るときには、私のお気に入りの温泉の源泉を運んで貰ってるの」
「……どうやって運んでんだ…」
「確か船を並走させて入れて貰ってるとか」
「なんでもありだな…」
呆れるを通り越して、いっそ感心してしまう。
「でもやっぱり、客船と言えば、外でプールでバカンスよねー!」
屋外プールとその脇に並ぶデッキチェアを指差し、意気揚々と言い放った。