水の国の王子様は従者を溺愛中!
目的地の駅へ着くと人気のない建物の裏へ連れて行かれてカイ様は持ち歩いていたコップに水を入れて差し出してくれる。
「慣れない乗り物につかれただろ、少し休憩してから行こう」
「ありがとう…冷たくて美味しい…」
馬車より断然揺れは少ないけど、長時間乗っていて乗り物酔いをしてしまって少し気分が悪かったけどカイ様が出してくれた水を飲むと落ち着いた。
「…リディア、水隠して」
カイ様にそう言われてコップをパッと後ろに隠すと、突然カイ様は片腕を私の腰に回して、私の後ろの壁に手をついて頬にキスをする
ええぇ!?何!?
すると、カイ様の後ろを人が三人の男女が通り過ぎて行く。
「…うわぁ…昼間からよくやるなぁ」
「水不足っていうのによく盛れるわよね」
ヒソヒソ声すごく聞こえる…
三人が通り過ぎるとカイ様は離れた。
「ごめん、水も隠さないといけなかったけどの辺りは従姉妹が嫁ぐ時に外交で来た事があるから顔が知られてるから顔を見られる訳には行かなくてさ」
カイ様はそう言うと目元を隠している包帯の顔を隠す範囲を増やして帽子を深く被り直した。
「大丈夫です…早いところ安否の確認に行きましょう…」
ドキドキしてしまうから毅然とした態度を取って心臓を落ち着かせる。
コップに残っている水を飲み干して、今回は私からカイ様の手を繋いで歩き始めた。
城下町に比べると人通りは少ないけれど、アクアヴェールの王都よりも人は多い。
「嫁ぎ先の王族の家はこの辺りで一番大きい屋敷で…」
進んでいる先に人集りが出来ていてカイ様と顔を見合わせた。
少し焦げ臭い気がする…
すると、目の前に大きな御屋敷が見えたけれどそこの御屋敷の前にはなんと晒し首が何個も置かれているのを見てしまう。
カイ様は口を押さえて唖然としている私を引っ張って、見えない所まで連れて道の端で二人でしゃがみ込む。
「嘘だろ……こんな事……」
「カイ様……ごめんなさい……私……ウッ」
元々気分が優れなかったのもあり、耐えきれずに嘔吐してしまった。
すると、カイ様はすぐに私の背中をさする。
「惨い物を見せてしまって申し訳ない…まさか自国の王族にまであんな事…」
「……うぅ……自分で着いて行くと言ったのに……ウッ…」
今辛いのはカイ様なのに…
「……あそこアクアヴェールの王族と結婚した王族の屋敷だよな?屋敷の人間全員晒し首って…流石に…」
「おい、軍の近くでアクアヴェールを憐れむ様な事言うと首切られるぞ」
すると御屋敷の門の前にいた軍人が拡声器で話し始めた。
「周囲の者はよく聞くように。この屋敷にはライマーレを攻撃した上に、水不足へ陥らせた悪しき水フォースを持つ者が居住していた為、その家族とそれを囲う者もろとも処刑した。我々は水のフォースを持つ者を許してはならない!水のフォースを持つ者はこの世の全てライマーレが処刑する。またそれに味方する者も例外なくこの者達と同じ様に処刑する」
酷い……ライマーレ軍が先にアクアヴェールの人達を虐殺をしたというのに……
「リディア…歩ける?ここから離れよう」
「はい……」
カイ様は私の肩に手を回して支えながら立たせると、私が戻してしまった物に足で砂をかけてその場から離れた。