水の国の王子様は従者を溺愛中!
なんとか御屋敷の見えない路地まで来て住宅の影で一度休む。
私がカイ様の事を支えなくちゃいけないのに……もう吐けないけど気持ち悪くてどうしようも出来なくて、涙ばかり出る。
私のワガママで着いてきたのに…
「リディア、大丈夫?」
「…はい……本当にごめんなさい……ハァハァ……」
「気に病まなくて良い。自分の体調の事だけ考えたらいいから…ほら、泣かないで」
カイ様は指で私の涙を拭って頭を撫でてくれる。
「しかし…ここだと水を飲ませられないし、どうするかな…」
この辺りは城下町と違ってお店は駅の近くまで行かないとないようだった。
すると、影を使わせて貰っていた住宅のドアが開いて中から人が出てきた。
「家の前で申し訳ない…妻が体調を崩してしまって…すぐ移動するので」
「あら…うちは全然構わないよ、奥さん大丈夫かい?………ん?」
気の良さそうな女性は話しながらカイ様の顔を見ると驚いた顔をして、カイ様は咄嗟に俯いて顔を隠した。
「貴方は…!二人とも早くうちの中に入りな!外に居たら危ないよ!」
「えっ?」
女性は周りをキョロキョロしながら私達を家の中と促して、訳も分からず私達は家の中へと入った。
女性は扉を閉めると鍵を掛けた。
「ご婦人…一体…」
「貴方…旦那さんの方アクアヴェールの王族でしょう?」
まずい…バレた……
「……何故」
「御屋敷の奥様と同じ瞳の色だし、それに貴方の事は一度御屋敷の近くで見た事あるからピンときたんだよ、うちはライマーレ国民だけど貴方達の味方だから安心しな。奥さんはそこのソファで休ませてあげて」
信用して大丈夫なのかな…?
カイ様て顔を見合わせるとカイ様は頷いた。
そしてソファへと移動して横にならせてもらう。
女性は奥の部屋から戻ってくると水の入ったコップを持ってきて私に差し出した。
「ほら、水飲んだら少しは気分良くなると思うから」
「そんな……ここでは水は貴重なものですし…頂けません…」
「水ならこの辺りの住人はまだあるから良いのよ…軍には隠していて絶対に渡さないけど」
水を頂くとソファで休ませてもらっているのもあって少し気分が楽になった。
「この辺りは干ばつの被害は少ないでしょうか?」
「いいえ、元からこの辺りも雨は少なくて水はアクアヴェールからの貿易に頼っていたけど、御屋敷の奥様が嫁いで来てから国に内緒で地下水路を作ってくれてね。この辺りの各家の床下に繋がっているんだよ。奥様は見た目も美しかったけど心も綺麗で優しくて、この辺りの人は皆慕っていたよ…でも……あんなに良くして頂いたのに…フォースを持たない私達には今朝突然来た軍から奥様を守る事が出来なかった……旦那様やまだ幼い子供達まで…」
女性はそう言って涙をポロポロと流した。
昨日のライマーレ軍の襲撃を目の当たりにしたから分かる。
この辺りの住人が全員で御屋敷を守ろうとすればこの辺りは簡単に潰されてしまう。