水の国の王子様は従者を溺愛中!
新たな出発
「俺達に子供が出来たら水のフォースを持った子が産まれるけど、訓練しなければ水を扱う事出来ないから一般人として埋もれていくはずだよ」
「私とカイルの子?」
「あ、勝手にごめん…まだこれからの生活どうなるかわからないからすぐには無理だけど、生活に目処が立ったらリディアと家庭を築きたいと思うんだけど…どうだろう?」
「うんっ…カイルの子絶対可愛いだろうなぁ」
「俺とリディアの子だからね?俺達の子は絶対可愛いよ」
「ふふっ…まだいないのに親バカだね」
カイルとのお風呂時間はすごく幸せな時間となった。
お風呂を出ると外は日が暮れかかっていて、急いで他の部屋の探索をして見つかったのは毛布だけだったけれど、日が暮れるにしたがって気温が下がってきたのでそれだけでもだいぶ良かった。
シェルターに戻ってカイルとくっ付いてブランケットと毛布に包まると疲れがたまっていたのと、ベッドでは無いのに何故か心地が良くてすぐに眠ってしまった。
安全な場所で眠ったからかぐっすり眠れてパッと目が覚めると覚めた瞬間にカイルと目が合った。
「へぁ…?」
「おはよう、目覚めた?」
「…おはよう…ん〜寝起きの顔見ないで…」
「ライマーレで俺の寝顔見てた仕返しだよ。ふっ…寝起きのリディアも可愛い」
カイルはそう言うと唇を重ねた。
朝から甘々でにやけそうになるのを堪える。
今日からフリじゃないんだ…
「寒いかもしれないけど、外に続く方の扉開けるよ?」
「…うん」
カイルが扉を開けると冷たい風が入ってきて、密閉されてランプの光しかなかったこの空間は一気に明るくなったけれど、すぐに毛布から出れそうにない…
年間を通してもアクアヴェールでこんなに寒い事はなかったのに。
「寒いな…」
「カイルも、もう少し毛布の中入って?…これってアヴァンカルドも寒いのかな?」
「その可能性は高そうだね、保存食食べたら出発しよう」
ライマーレからの気温の差が激しい。
防寒対策が必要になりそうだけど、町の方で何か見つけたいところだ。
保存食を食べて出発の準備を進める。
町の様子はどうなってるかわからない。
私の家族はどうなってしまったのか…
どちらにしても私はこの先カイルを支えて一緒に生きていくと決めたから家族の安否がどうであれ再会する事はない…。
最後は婚約の話で揉めてギクシャクしてしまったけど無事であって欲しい。
町に行くに当たってカイルはライマーレの時よりも更に顔を隠した。
「リディアのご家族の安否確認遠回りさせてしまってごめん」
「ううん、お互いに全部失って自分達の事だって大変な時だもん…気にしないで」
出発の準備が出来ると、私達は扉を開けて町へと向かった。