水の国の王子様は従者を溺愛中!
町へ向かうと、アヴァンカルドの方から来たのか一般の人が見え始めた。
町も雷のフォースによって見慣れたお店や家は全て黒焦げになっている…
町の方もご遺体は回収されているみたいだ。
そして、建物の前にはそこで亡くなった方の名前と花が供えられている。
うちの家族が営んでいる花屋の店の前には従業員の名前は書かれているけど、両親と兄の名前はない。
私は大人になってからお店へは顔を出さなかったので従業員は知らない人だ。
「ここがうちのお店だった場所」
「そうだったのか…ご家族は…」
「ここに名前無いからお店にはいなかったみたい…家の方かも」
私とカイルは元々お店のあった場所に手を合わせてから家の方へと向かった。
生まれ育った家は完全に崩れ落ちていて瓦礫の山だ。
それだけでも目の当たりにすると、ショックで立ち止まってしまう。
するとカイルは私の肩を抱いた。
「大丈夫…?辛かったら一度離れようか」
そう聞かれて私は首を横に振った。
「……大丈夫…」
カイルは家族や親戚のもっと酷い惨状を目の当たりにして来たんだ。
このくらいで立ち止まっていられない。
家の正面へ回ると他の家と同じように花が供えられていて、残っている柱には両親の名前が書かれていた。
「お父さん……お母さん……ふゥッ」
泣き崩れそうになるとカイルが支えてくれてカイルにしがみつきながら泣いた。
あの日、お城の仕事休んで朝からブルゾン家に向かっていれば死ぬ事はなかったかもしれない。
私の事を家で待っていて亡くなってしまったかと思うと…
兄の名前は無かったけど、何処か別の場所で亡くなったのか…もしくは先にブルゾン家へ行っていた…?
私が落ち着くまでカイルは黙って抱きしめ続けてくれた。
…いつまでもここで泣いていても両親が戻ってくる事は無い。
涙を拭って家の前で手を合わせる。
それに続いてカイルも手を合わせた。
「俺から供えられる物何も無くて申し訳ないな」
「…手を合わせて貰えるだけで充分だよ」
すると、後ろから肩をトントンと叩かれる。
「こちらの家の御家族の方ですか?」
振り向くと、背が高くガッチリした男らしい体付き男性が声を掛けてきた。
手には花を持っている。
よく見ると、顔もかなり整っていて高そうな毛皮を身にまとっていて一目で一般人ではない事がわかる。