水の国の王子様は従者を溺愛中!
情勢の激化


初日にカイ様とお話して以来カイ様の姿を見れる事はなかったけれど、職場の人達はみんな温かくて一番年齢の低い私の事を娘の様に可愛がってもらえて不満はなかった。


お城で働けばカイ様をたくさんみられるなんて考え自体浅はかだったけど…


お城で働き始めてから二年が過ぎた頃、ライマーレからの圧力が更に酷くなってきていた。
ライマーレがこんな小さな国にしつこく干渉してくるのは働いていて教えてもらった情報によると、水のフォースは雷の力を増幅させる事が出来、火の力を弱める事が出来る。
ライマーレは最終的にはアクアヴェールとアヴァンカルド両方の制圧を企んでいてその為にまず水のファースの力を欲している。


単純にそれだけではなく水のフォース持ちと交じ合いはすごい快感が得られるらしくライマーレの王族はその目的の為にアクアヴェールの王族を襲ったり、連れ去ったりする事も多くなりアクアヴェールは耐えられなくなり拒絶を始めた。


いつ戦争が始まってもおかしくない状況にまで陥っていて、ノーフォースの国民は順次アヴァンカルドへの移住を言い渡された。


「絶対に嫌っ!パパとママ二人揃って頭おかしいんじゃないの!?」

「今まで好きにさせてたんだからわがまま言うんじゃない!お前がブルノン家に嫁げば家族全員アヴァンカルドでの仕事や生活も保障されるんだぞ!」

「それにブルノン家に嫁げば優先してアヴァンカルドへ行けるのよ!とても良い話じゃない?」

「それならママがパパと離婚してブルノン家に嫁げばいいでしょ!」

「親に向かってなんて事言うんだ!」


ブルノン家というのはアヴァンカルド王国の貴族の家だ。
うちの両親はそこの70歳を超えた男性との結婚話を持ってきたのだ。

元々アクアヴェールで生活を確立してきた国民が異国へ移住するのはただ移動すればいいだけの話ではなく、向こうでの生活もありそう簡単な事ではないのはわかっている。

そして、この様な条件で移住する人達も多くいる。
いつか親が持ってきた結婚話で嫁ぐ事になるとは思っていたけれど、どうしても受け入れられなかった。

「とにかく、明日の午後挨拶をしにアヴァンカルドへ向かう………リディア、すまない。いつ戦場になってしまうかわからないこの地から一刻も早く家族全員を守りたいんだ……わかってくれ」

「……私、明日お城の仕事行くから……気が向いたら仕事終わってから行くかも……」


謝られてしまうと強く出られない…。
今の状況下では仕方ないのもわかってるけど。


< 5 / 54 >

この作品をシェア

pagetop