溺愛銃弾〜ベビーメタル・ソリッド~
「子供を産むくらいしか役に立ちゃしない嫁だ。次も駄目なら、息子(あれ)には他所に女でも作ってもらおうかい」

「そういう冗談は、愛妻家の遊佐(ゆさ)様がお困りになるじゃありませんか」

口許に手をやり、艶やかに場を濁すお義母さん。

「申し訳ないのですけど樹はごらんの通りで、これで失礼をいたします。じきに陶史郎も戻ってまいりますから、座敷(あちら)でお寛ぎくださいませ」

すっきりとした日本美人で、白百合の花を思わせる人。普段はお茶目なところもあるのに、一瞬でスイッチが切り替わる。・・・陶史郎さんはお義母さんの遺伝子を丸写し。形も中身も。

にっこり優しい目線で促され、これ以上“できない嫁”だと思われないよう慎ましく挨拶して離れに戻った。

足の間にクッションを挟んで、お腹を守りながら広いソファにゆっくり横になる。いつもクッションのポジションを決めてくれる陶史郎さんがいない。

なんか。寝心地が悪い。なんか。ここにいたくない。

ちがう。

ここにいていいのか、ワカラナイ。
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