18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~

 鼻血が止まるまでしばらくのあいだ、遥さんはとなりで笑いを堪えていた。

 もう、恥ずかしくて彼の顔をまともに見ることもできない。


 思っていたよりもハードルが高すぎた。

 こんなの、世の中の人たちはどうやって子供を作っているんだろう。


「すみません……わたし、頑張って……その、慣れるようにします」

 一瞬、真顔になった遥さんは、また口を押さえて笑い出した。


「慣れるって、何を?」

「えっと……そういう、ことを」

「どうやって慣らすの?」

「いろんな、本とか読んで……」


 これ以上話すのは頭も体も限界だった。

 なんとか鼻血は止まったけど、鼻の奥がひりひりする。

 遥さんはしばらく声に出して笑ったあと、ひと呼吸置いて冷静な表情になった。


「そんなに気にしなくていいよ」

「そう、ですか?」

「だって……」

 遥さんは半眼で私を見据えて、指先で私の頬に触れた。


「俺の手で、慣らしていくから」


 彼の指先が唇に触れた瞬間、思わず「ひっ」と軽い悲鳴を上げてしまい、体が固まった。

 それを見た遥さんはまた「ふふっ」と吹き出してしまった。

 遥さんはもはや笑いが止まらないようで、私の頭をくしゃくしゃに撫でながら「冗談だよ」と言った。


 なんだか最近、意地悪だなあと思う。



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