18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~

 涼しい表情でそんなことを言われて、ひやりと背筋に悪寒が走った。

 小春のセリフが頭によみがえってくる。


『あーんなこととか? こーんなこととか?』


 そして小春の書いたBL小説のあーんなシーンを思い出してしまった。

 一般に公開している部分はキスシーンまでだけど、内輪だけで公開している話には続きがあった。


 ショーマに押し倒されたリューセイは無理やり服を脱がされて、やめてと叫んでいるのにショーマにあらゆるところをキスされて、嫌がっているはずのリューセイはだんだんそれを受け入れて、それから最後にはあんなこと(これ以上は言葉にできない……!)をされるのだ。


「ふぇ……」

 急に鼻の奥からぬるりとしたものが出てきて、それが頬を伝って落ちた。

 口の中も生温かさとともに鉄の味が広がる。


「いろは?」

 と遥さんが驚いた顔で離れた。


「あ……鼻、血……?」

 急いで鼻を押さえると、手のひらが真っ赤に染まった。


「くっ……あはははは」

 遥さんが急に声を上げて笑った。

 それを見たら、なんだか急に安心して肩の力が抜けた。


「遥さん……」

「ごめんごめん。ちょっと待って」

 遥さんは立ち上がると、ティッシュの箱を持ってきて、それから数枚取り出して私にくれた。


「ずみませ……」

「これは予想してなかったな」

「ごめんなさい」

「一体、何を考えてそんなに興奮したの?」


 ドキッとして言葉を失った。

 友達の書いたえろ小説を思い出したなんて言えないよー!






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