18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~

 私が黙ったままでいると、彼はまるで呆れたような顔つきで笑った。

 何がおかしいのだろうと思い、睨みつけると彼は少し首を傾げるような感じで訊ねた。


「今日は録音していないのか?」

「えっ……」


 どきりとしてスマホをポケットから取り出した。

 だけど、そんなことはすっかり忘れていたので録音などしていない。

 遥さんはふふっと笑った。


「君は肝心なところで抜けているな。今の会話を録音しておけば、少しは俺に不利な状況を作ることができたのにね」

「あっ……!」


 そうだった。今の会話だけで遥さんが超絶悪役っぽいキャラになっていたのに私ったらせっかくの機会を逃してしまった。


「そういう抜けているところがまた、たまらなく可愛いんだけど」


 遥さんはゆっくりと私に近づいてきた。なので、私は少しずつ後退した。

 テーブルに当たって食器が触れ合う音がした。

 すると遥さんはテーブルに片手をついて、私に覆いかぶさるように顔を近づけてきた。


「な、何……」


 襲われる!!!

 と思ったら、彼はもう片方の手でケーキの箱を私の前に差し出して見せた。


「好きだろ?」


 うわー“YAKUSA”のシュークリームだあっ!!



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