18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~
がちゃりとドアが開いて、どくんと胸の鼓動が高鳴った。
帰ってきた、と思って急激に緊張感が高まる。
私は立ち上がってそのままの状態で彼がリビングに入室するのを待った。
「あれ? 逃げなかったんだ」
遥さんは私を見るなりそんなことを言った。
あまりにも淡々とした口調で、冷たい空気が漂っていて、さらに緊張感が増した。
怯んではいけないと思い、私は自分を奮い立たせるように、彼に強い口調で返した。
「私が逃げたらあなたの立場が悪くなるだけよ」
脅すように言ったつもりだけど、彼にはまったく効果がないようで、冷静に返された。
「ならないよ。何があっても握り潰すからね」
彼の冷めた表情にぞくりと背筋に悪寒が走る。
怯んでは駄目だ。
落ち着いて、パニックにならないように、私は深く息を吐き出した。
「そ、そうやって……他のことも、自分の思いどおりにしてきたの? 気に入らないことがあれば力ずくて揉み消して、利用できる人を利用して……」
彼は真顔で私の話を聞いていたけど、途中でふっと笑みを浮かべた。
そして私にまっすぐ目を向けて、ひと言。
「ああ、そうだよ」
さらりと開き直って答える彼に、私は言葉を失った。