18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~
保健医の長門に手当てをしてもらうと、伊吹はベッドに入って少し眠ることにした。
以前はこうして授業をさぼってはここで寝ていた。
長門は一応先生として注意はするが、伊吹に出ていけとは言わない。
伊吹にとって話しやすい先生である。
しかし、長門はたまに冷たいことを平気で口にする。
――あいつらにやり返してやる?――
――僕なら、やられたことはきっちり返すけどね。二度と僕に近づけないように――
どこまで本気なのか、たまにわからなくなる。
うとうとしていたら長門が戻ってきたので、伊吹はカーテンを開けた。
それに気づいた長門が声をかけてくる。
「あれ、起きてたの?」
「秋月は?」
「無事に学校を出たよ」
「そっか。どうも」
伊吹が軽く頭を下げると、長門はなぜかクスッと笑って近づいてきた。
「香取くん、君さ」
伊吹は不思議に思い、眉をひそめて長門を見る。
長門はにこにこしながらさらりと言った。
「秋月さんのことが好きなんだね」
伊吹はガキンッと体が硬直した。
少しのあいだ不気味な静寂があり、顔を引きつらせる伊吹に対して長門は満面の笑みを浮かべている。
「え……は? 何言って……」
「否定してもバレバレだよ。君はわかりやすいからね」
「バカなこと、言うな……」
「ほら、こんなに顔を真っ赤にして」
長門は両手で伊吹の頬を触り、ふふっと笑った。
伊吹はこれまでにないほど顔が熱くなり、頭が沸騰しそうになった。
どくどくと鼓動が高鳴り、息が苦しくなる。
「放せよ」
伊吹は顔を横に振って長門の両手から逃れる。
すると長門はさらにとんでもないことを言い放った。
「ねえ、僕が協力してあげようか?」