18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~

「うーん……」

 私はデスクで数学の参考書とにらめっこしながら唸った。

 そのとなりには遥さんがいる。

 それがなんだか落ち着かないから、というのは言いわけなのかもしれないけど、なかなか集中できない。


「その問題は2回目だよ」

 と遥さんが言った。

「わかって、る……けど」


 ううっ……解き方が思い出せない。

 私ってこんなにおバカさんだったのかなあ?


「わかった。これが最後だ」

「え?」

 となりを見ると遥さんは極上の微笑みを浮かべていた。


「教えるのは3回目。これでできなければペナルティを与えることにしよう」

「ええっ!?」


 最近わかったことがある。

 遥さんの笑顔には本当に優しく笑っているときと、苛立っているときがあるということを。

 今回は間違いなく後者だ。


「えっと……遥さん、怒ってる?」

「怒ってはないよ。イライラしてるだけ」

「うわあっ、正直」

 笑顔のまま表情を変えずさらっと言われて、さすがに危機感を覚える。


「ペナルティって何?」

 ドキドキしながら訊ねると、彼はにっこりと微笑んで言い放った。


「ちょっと痛いことをしようか」

「痛いこと!?」

 もしかして叩かれるのだろうか、と不安になってとっさに離れたら、遥さんはいきなり私の腕をつかんだ。


「そう、いろはの知らないこと。ちょっと痛いけど、癖になるよ」

 彼は私の耳もとでこっそりと言った。


 何それ何それ。

 めちゃくちゃ怖いよーっ!!!



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