18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~
どくんどくんどくんと鼓動が大きく鳴り響き、私の胸中は何をされるのかわからない恐怖と、妙な期待感が混ざって複雑な感情になっている。
「い、痛いことって……もしかして」
ふと思いついたことを口にしようとして、とっさに黙ると、遥さんは笑みを浮かべながら訊ねた。
「何? どんなことだと思った? 言って。さあ、早く」
遥さんのこういうところって、漫画でいうところの、いわゆるドS男子だよね。
「い、や……やっぱり、何でもな……」
「言って。早く」
彼は私の頬をつかんで顔を近づけると、急かすように言った。
「えっと、お尻を叩かれたり……」
「なるほど。それもいいね」
「違うの!?」
「あれ? してほしいのか」
「違うーっ!!」
なんか、うまい具合に誘導されている気がする。
「他には何を思いついた? 言ってみて」
「……思いつかない」
「うそだな。早く言って。でないと、もっと痛くて癖になることをするよ」
「か、噛みつかれたり……!」
私は吸血鬼の漫画を思い浮かべながら答えた。
すると、遥さんは鋭い目つきで含みのある笑い方をした。
「正解」
遥さんは私の耳もとに唇を近づけて、ささやくようにそう言うと、私の耳たぶに歯を立てた。
「ひゃっ……!」
痛みよりも快感が走って、驚いて、体が硬直した。