18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~
そして、平日のいつもの夜だ。
毎日、帰宅したら夜遅くまでいろはの勉強を見てやっている。
彼にとって至福の時間である。
「えーっと、これは……こうして……あっ、そうか!」
いろははしばし悩んでいたが、思いついたように解答を書き込んだ。
そのとなりで遥はただ静かに見守るようにして彼女を見つめた。
「ねえ、見て。遥さん、これも自分で解けたよ!」
明るい笑顔で喜びを表す彼女に、遥は穏やかに笑って返す。
「よくできたね。もう教えることはないかな」
「テスト、どうにかなりそう。ここまで来たら完璧にしたい」
「いろはは頑張り屋さんだね」
いろはが髪をかき上げると、耳から首筋まですらりと綺麗に見えた。
遥はそれをじっと見つめて、それからおもむろに手を伸ばした。そして彼の指先は彼女の首筋をすうーっと撫でたのだった。
「ひあぁっ!?」
いろはが悲鳴じみた声を上げた。
「何? なに? 遥さん」
「いや、別に。ちょっとイタズラ」
困惑の表情を浮かべる彼女に、彼は淡々と返した。
「はうぅ……やめてよ。いきなり触らないで」
「駄目なの?」
遥は真顔でさらりと訊ねる。
いろはは頬を真っ赤に染めて、恥ずかしそうに言う。
「だめ! 遥さんが触ったら、なんか……」
「うん、何?」
顔だけでなく首まで真っ赤にした彼女が潤んだ瞳で続ける。
「からだ、が……へんに、なっちゃう……」
遥は真顔で硬直した。
少しからかってやるつもりだったが、彼は言葉を発することができなくなった。
そして、彼は黙って額に手を当て、俯いた。
「え……どうしたの? 遥さん」
「いや、なんでもないよ」
彼は自分の首を絞める行為をしているのだと、ようやく気づいた。