18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~
おかあさんのいうとおりにすればうまくいく。
おかあさんにほめられるためならなんでもする。
おかあさんのためなら。
遥の頭の中は母親のことしかなかった。
やることなすことすべて、母親のためにした。
彼にとって父親の存在はあまりなかった。
なぜなら父親はほとんど家に帰ってくることはなかったからだ。
毎日仕事で忙しいのだと母親に聞いていた。だから、遥もそれを信じていた。
その夜までは――。
とある真夜中のことだ。
トイレに行きたくなって目が覚めた遥は2階の自室を出て廊下を歩いていた。
すると、階下から何やら騒がしい声が聞こえてきたので、不思議に思って階段の下を見下ろした。
父親の声がして、胸が高鳴り、急いで1階へ降りた。
おとうさんが、かえってる!!
久しぶりに父親に会えるかもしれないと思い、ドキドキしながら話し声のする部屋へ走っていった。
すると、部屋の中から怒声が聞こえた。
「いい加減にして! またあの女のところにいたんでしょ?」
母親の叫び声に遥は萎縮して部屋の前で動けなくなった。