18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~

 お酒の匂いがふわっと鼻について、ほろ苦い味がして、やわらかいのに力強い感触が一気になだれ込んでくる。

 そして、唇が重なるたびにかすかに耳に響く音がすごくリアルで、すぐに体が火照ってきた。


 窓ガラスの夜景にぼんやりと私たちの姿が映っているのを見て、急に恥ずかしくなって顔を離した。


「ごめん。嫌だった?」


 遥さんが申しわけなさそうに言うから、急いで首を横に振った。

 もしかして、彼が遠慮しているのは私がいつまでも抵抗しているからかもしれないと思った。

 それなら誤解だから、すぐに訂正しようと思い、とっさに出てきた言葉は自分でもとんでもないと思うことだった。


「違う。もっとしてほしいの!」

 遥さんは驚いた表情で固まった。


「あ、えっと……嫌じゃなくて、その……」

 自分で言っておきながら恥ずかしくなってきた。


 遥さん、ドン引きしてる?

 などと一瞬不安にかられたけど……。


「本当に?」

 彼は急に真顔になり、じっと私を見つめた。

 射抜くような目で見られて、体がきゅっと固くなる。


「……はい」

 両手を前で組んでうつむき加減でなんとか返事をした。

 恥ずかしすぎて彼の顔をまともに見ることができないから。

 すると、いきなり視界がくるりと反転した。


「きゃっ……遥さん?」


 2回目のお姫さま抱っこ。

 遥さんは私を抱き上げてから、ソファに下ろした。

 というか、押し倒した。



 つまり、押し倒された……!

 これ、ショーマとリューセイのキスシーンと同じ状況!?




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