【極上溺愛】エリート鬼上司は無垢な彼女のすべてを奪いたい
 白いプレートの真ん中に鎮座するのは、ベルベット素材のリングケース。蓋は開いていて、夜景よりも美しく輝く宝石が、繊細な光を撒き散らしている。

「帰したくないとか泊まってほしいとか、我儘言ってごめん。会社でも隠し通すの大変だったよな」

 目を丸めている私に優しく告げ、賢人さんは立ち上がった。

「もう中途半端は終わりにするから」

 私の傍らまで来ると、彼はリングケースをそっと取り上げた。

 プレートの縁に盛られたプチケーキとフルーツ、そしてチョコペンで書かれた「Will you marry me?」の文字がテーブルに取り残される。

「和花、俺と結婚してください」

 長い脚を折って跪き、私に向かってケースを掲げる。

 鳥肌に似た感覚が、ぶわっと全身を覆った。唇が震えて、うまく声が出てこない。

「この先の人生を、和花と一緒に歩みたい」

 喉の奥が熱い。

 これは夢?

 きらめく夜景も、豪華な食事も、傍らで跪く男性も、なにもかも完璧で現実のものとは思えない。

 ただ一点だけ。いつもと違う賢人さんの表情だけが真正面から私の胸を貫く。
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