【極上溺愛】エリート鬼上司は無垢な彼女のすべてを奪いたい
 会社にいるときのしかめっ面でも、普段見せてくれる優しい笑みでもない、ほんのすこし頬をこわばらせた顔で、彼は私を見上げている。

 リングケースを掲げる長い指が、よく見ると細かく震えていた。

 いつも大人の余裕で私を包み込んでくれる賢人さん。でも今、私の答えを待つ彼の真剣な眼差しに、余裕なんて見当たらない。

 庇護欲の対象だからじゃない。

 賢人さんは真正面から、私に愛を捧げてくれている。

 視界が滲み、堪えきれずに涙が一筋、頬を伝い落ちた。

「はい……お願いします」

 そう声を絞り出すだけで精一杯だった。



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